NEWS(お知らせ)新型コロナウイルス感染症に関わる休校?生活制限による障害児とその家族の生活困難?ニーズ調査報告
2020年12月9日
? 北海道教育大学釧路校?特別支援教育研究室では、「新型コロナウイルス感染症に関わる休校?生活制限等による障害児とその家族の生活困難?ニーズ調査」を実施しました。
東京都および埼玉県の一部と北海道の特別支援学校に在籍する児童生徒の保護者を対象に実施され、562 人(有効回答数 549)から回答を得ました。
「大きな災害が起こると、障害児やその家族のことは忘れ去られる…」
新型コロナウイルスの感染は未だ終息が見通せない中、大人も子どもも不安の中、日々必死に生活しています。とりわけ子どもにおいては、全国一斉休校にはじまり、全国民に感染症予防対策として「三密を避ける、マスク着用、手洗い?消毒の徹底」、活動自粛や生活制限などを強いられ、そのことの影響が心配されています。とりわけ、全国一斉休校は、長いところでは3カ月以上にも及び、子どもの学習や生活に多大な影響を与えました。管理職をはじめ教職員の方々は子どもたちの学習保障や健康観察等に日々奮闘され、学校再開後も、分散登校、マスク着用、三密を避ける等の対応が求められ、さらなる負担がかかっています。
この間、様々な組織、団体が休校中の子どもや保護者の実態調査を実施し、その影響の大きさを指摘しています。しかし、より影響が大きいと考えられる障害児に対しては、その実態も十分明らかにされていません。学校が再開された後も、学校や家庭で様々な制限等が続くことから新たな問題も懸念されます。このような状況から、北海道教育大学釧路校特別支援教育研究室では、「新型コロナウイルス感染症に関わる休校?生活制限等による障害児とその家族の生活困難?ニーズ調査」を実施し、保護者の皆さまから貴重なご意見をいただきました。
今回の調査では、学校休校中の子どもたちに深刻な影響を及ぼしていることが示されました。この間行なわれてきた調査と同様、運動不足やテレビやネットへの依存傾向、睡眠や食生活の乱れが多くみられました。そのことが体重の増減、体力の低下、中性脂肪値の高さにつながり、健康を脅かしています。また、行動制限によるイライラやパニックといった行動面での影響が上位を占め、自由意見でも、「パニック」「自傷行為」「暴力的行動」「便いじりなどの自己刺激」が増え、「コミュニケーション力の低下」「身辺自立面での後退」等、発達面での影響も多く、さらには「てんかん」「音や光の過敏の進行」など病気や障害の進行もみられ、深刻な状況がうかがわれます。そのような状況は、学校再開後もすぐには改善せず、「登校できない」「生活リズムが改善しない」といった声も多くあがっており、その影響が長期にわたっていることが示されました。
家族の状況では、保護者、とりわけ母親の多くは子どもの介助を含め養育全般を担っていることから、「隔離生活などできない」「自分が倒れられない」といった精神的に張り詰めた状態であり、自由意見では、「不眠」「精神的にも体力的にも限界」「自らの通院もできなかった」などが寄せられています。また、「預け先がない」などによって就労困難となり「仕事を辞めた」というケースはもちろん、「中学部だからとテレワークが認められなかった」など、感染予防として呼びかけられていたテレワークすら障害児の場合は困難であることも示されました。平時においても障害児を育てる保護者は就労困難、健康破壊、そして孤立しやすい状況にある中、今回のコロナ禍によってますます深刻さが増しています。これまでの福祉?教育の脆弱性が一気に浮き彫りとなり、さらに障害児家庭を追い込んでいます。
環境の変化に敏感かつ弱い障害児の場合、ダイレクトにその影響を受け、子どもの健康や発達に顕著に現れるかと思いますが、障害のない子どもの場合はある程度まで「自分で我慢し、コントロールしている」とするならば、時間の経過の中でその影響が徐々に現れてくると予測されます。したがって、今回の障害児やその保護者の状況は決して、障害児固有の問題ではなく、全ての子どもたちにとっても重要な問題提起となると考えています。少しでも多くの皆様にコロナ禍における障害児やその家族の状況をご理解いただき、今後の対応や支援体制の充実につながりますことを願っております。
なお、調査結果と概要とまとめは、北海道教育大学特別支援教育プロジェクト?ほくとくネットに掲載されています。
こちら http://hokutoku.net/
東京都および埼玉県の一部と北海道の特別支援学校に在籍する児童生徒の保護者を対象に実施され、562 人(有効回答数 549)から回答を得ました。
「大きな災害が起こると、障害児やその家族のことは忘れ去られる…」
新型コロナウイルスの感染は未だ終息が見通せない中、大人も子どもも不安の中、日々必死に生活しています。とりわけ子どもにおいては、全国一斉休校にはじまり、全国民に感染症予防対策として「三密を避ける、マスク着用、手洗い?消毒の徹底」、活動自粛や生活制限などを強いられ、そのことの影響が心配されています。とりわけ、全国一斉休校は、長いところでは3カ月以上にも及び、子どもの学習や生活に多大な影響を与えました。管理職をはじめ教職員の方々は子どもたちの学習保障や健康観察等に日々奮闘され、学校再開後も、分散登校、マスク着用、三密を避ける等の対応が求められ、さらなる負担がかかっています。
この間、様々な組織、団体が休校中の子どもや保護者の実態調査を実施し、その影響の大きさを指摘しています。しかし、より影響が大きいと考えられる障害児に対しては、その実態も十分明らかにされていません。学校が再開された後も、学校や家庭で様々な制限等が続くことから新たな問題も懸念されます。このような状況から、北海道教育大学釧路校特別支援教育研究室では、「新型コロナウイルス感染症に関わる休校?生活制限等による障害児とその家族の生活困難?ニーズ調査」を実施し、保護者の皆さまから貴重なご意見をいただきました。
今回の調査では、学校休校中の子どもたちに深刻な影響を及ぼしていることが示されました。この間行なわれてきた調査と同様、運動不足やテレビやネットへの依存傾向、睡眠や食生活の乱れが多くみられました。そのことが体重の増減、体力の低下、中性脂肪値の高さにつながり、健康を脅かしています。また、行動制限によるイライラやパニックといった行動面での影響が上位を占め、自由意見でも、「パニック」「自傷行為」「暴力的行動」「便いじりなどの自己刺激」が増え、「コミュニケーション力の低下」「身辺自立面での後退」等、発達面での影響も多く、さらには「てんかん」「音や光の過敏の進行」など病気や障害の進行もみられ、深刻な状況がうかがわれます。そのような状況は、学校再開後もすぐには改善せず、「登校できない」「生活リズムが改善しない」といった声も多くあがっており、その影響が長期にわたっていることが示されました。
家族の状況では、保護者、とりわけ母親の多くは子どもの介助を含め養育全般を担っていることから、「隔離生活などできない」「自分が倒れられない」といった精神的に張り詰めた状態であり、自由意見では、「不眠」「精神的にも体力的にも限界」「自らの通院もできなかった」などが寄せられています。また、「預け先がない」などによって就労困難となり「仕事を辞めた」というケースはもちろん、「中学部だからとテレワークが認められなかった」など、感染予防として呼びかけられていたテレワークすら障害児の場合は困難であることも示されました。平時においても障害児を育てる保護者は就労困難、健康破壊、そして孤立しやすい状況にある中、今回のコロナ禍によってますます深刻さが増しています。これまでの福祉?教育の脆弱性が一気に浮き彫りとなり、さらに障害児家庭を追い込んでいます。
環境の変化に敏感かつ弱い障害児の場合、ダイレクトにその影響を受け、子どもの健康や発達に顕著に現れるかと思いますが、障害のない子どもの場合はある程度まで「自分で我慢し、コントロールしている」とするならば、時間の経過の中でその影響が徐々に現れてくると予測されます。したがって、今回の障害児やその保護者の状況は決して、障害児固有の問題ではなく、全ての子どもたちにとっても重要な問題提起となると考えています。少しでも多くの皆様にコロナ禍における障害児やその家族の状況をご理解いただき、今後の対応や支援体制の充実につながりますことを願っております。
なお、調査結果と概要とまとめは、北海道教育大学特別支援教育プロジェクト?ほくとくネットに掲載されています。
こちら http://hokutoku.net/